2025年5月の決算発表シーズンでは、多くの企業が堅調な業績を報告し、日本株全体の投資ムードが回復しつつあります。特に世界経済の不透明感が続く中で、確かな利益を出し、株主還元に積極的な企業には注目が集まっています。以下では、注目すべき好決算企業と、今後の日本株市場の見通しについて詳しく解説します。
■ 今期好決算を出した注目企業5選
【1】ジェイエイシーリクルートメント(2124)
グローバル人材紹介に強みを持ち、2024年12月期に営業利益100億円の大台を計画。インバウンド需要の復活や外資系企業の日本回帰を追い風に、専門職人材のニーズが再び上昇。配当利回りも高く、総還元性向100%以上という株主還元姿勢は高評価。
ポイント: 専門職採用の回復と為替の追い風
【2】サカタインクス(4633)
パッケージ印刷用インキで世界トップクラス。世界的な脱プラスチックの流れで、紙パッケージの需要増が追い風に。インドや東南アジア市場での需要増も収益を下支えし、営業利益は過去最高更新へ。
ポイント: 環境対応ニーズが成長を牽引
【3】サイゼリヤ(7581)
安価な価格帯ながらも利益率を維持。特に中国・台湾などアジア展開が加速しており、国内の人手不足に対応する自動化投資も進む。円安による訪日客の増加も追い風。
ポイント: グローバル展開とコスト管理が強み
【4】J.フロントリテイリング(3086)
百貨店不況が叫ばれる中、インバウンド需要をうまく取り込み、免税売上の増加が顕著。大丸・松坂屋のリブランディングや体験型店舗への転換が成功し、利益は通期計画を超過。
ポイント: インバウンド回復の恩恵、実店舗改革
【5】ファーストリテイリング(9983)
ユニクロが欧州・米国でも安定成長。特にインド・東南アジア市場での成長ポテンシャルが注目されており、海外売上が国内を大きく上回る構造に。今期も増収・増益予想。
ポイント: グローバル消費への対応力とブランド強化
■ これからの日本株の展望
◎ 業績相場への移行
2024年後半〜2025年春にかけて、日銀の緩やかな金融正常化や米FRBの利下げ観測が進む中、日本株は「金融相場」から「業績相場」へと移行しています。企業業績の良し悪しが、個別株の値動きにより直結する局面に入っているため、業績の裏付けがある銘柄に資金が集中しています。
◎ 海外投資家の日本株回帰
2025年に入り、海外勢の日本株買いが加速しています。
理由は以下の3点:
米国株のバリュエーションが高すぎることへの懸念 円安による割安感 東証のガバナンス改革によるROE改善期待
このトレンドは今後も継続する可能性が高く、「高配当+好業績」銘柄を中心に物色が続くと予想されます。
◎ 注意点:グローバルリスクと日銀の動向
ただし、米中関係の再悪化や中東情勢など地政学リスクは依然として市場の重石です。また、日銀の政策修正が急すぎる場合、金利上昇による株価の下押し圧力も懸念されます。
■ 結論:個別銘柄とセクター選びがカギ
2025年の日本株市場は「選別相場」が色濃くなっており、銘柄選びの重要性が増しています。高収益体質、安定配当、海外展開をキーワードに、成長が見込める企業を見極める力が投資成果を左右します。
インバウンド関連、脱炭素・環境対応企業、人材サービス業など、「日本らしい強み」を持つ企業が今後も市場を牽引するでしょう。